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現在B重油(重油2種)の需要はほとんどなく、船舶による輸送は皆無である。また、海上に流出した油は、経時変化により粘度が上昇し、B重油の粘度をはるかに上回っている。このことから、試験に使用する油の再検討が必要である。
*2、3 試験油の動粘度及び試験温度
1で述べたようにB重油以外の試験油を検討する必要がある。粘度は、温度により変動するため、動粘度一試験温度の関係から試験油を検討することが必要である。
*4 試薬
舶査第52号で使用されている油分抽出試薬は四塩化炭素であるが、四塩化炭素は1995年に製造中止となっており、近い将来には使用禁止となる。このため、油分抽出試薬として四塩化炭素に代わる試薬を検討する必要がある。
*5 分光光度計及び吸光度
上記の抽出試薬に代わる新たな抽出試薬を選定した際に、抽出油分にあった波長とパスレングスを決定する必要がある。
*6 対油散布率
舶査第52号では、対油散布率を20%と規定しているが、静置30秒後及び10分後の乳化率を満足する適正(最小)散布率に変更することが望ましい。このことは、各油処理剤が、それぞれ適正散布率を持つことにより、海洋での過大な散布を抑制することにもなり、海洋生物に対する負荷を軽減することができる。
*7 静置時間
舶査第52号では、30秒後と10分後と規定しているが、撹拌直後の30秒は海水中の大きな油の粒子をサンプル中に取り入れている。このため、30秒後の乳化率は一般的に高い値を示し、不適切である。

 

 

 

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